採用を行う企業の多くは、応募者から提出された応募書類など、限られた判断材料で選考を進めています。そのため応募者の電話対応から受ける印象は、選考に大きな影響を与えている可能性があります。
そこでなるべく好印象を与えるためにも、正しい電話のマナーを覚えておきましょう。
「新卒の就職活動の時に覚えた」「今も仕事で電話しているから大丈夫」など安心せず、ビジネスマナーの基本だからこそ、しっかり確認しておきましょう!
電話前には準備が必要
理想とされる電話の対応は、マナーをわきまえ、堂々としている印象を与えることです。電話中に慌てることがないように準備、場所、タイミングの3点を意識しましょう。
【準備】
どのような用件で電話を掛けるかにもよりますが、すぐ手の届く場所に
- 求人広告など、電話を掛ける企業の情報が分かる資料
- 電話で話したい用件をまとめたメモ
- スケジュール帳
- 筆記用具
を置いておいたほうが良いでしょう。
あらかじめ用件をまとめてメモしておくことで聞き漏らしを防ぎ、スムーズに話を進められます。
【場所】
緊急の場合を除き、雑音などが入らない電波の良い場所で電話を掛けるようにします。せっかく電話を掛けたにもかかわらず、大事なポイントを聞き漏らしてしまっては意味がありません。
また、雑音が多かったり、電話越しに周りの声が届いては相手に不快な思いをさせてしまいかねません。落ち着いて話せる場所を選びましょう。
【タイミング】
電話する前に、求人情報、筆記用具、スケジュール帳を手元に用意しましょう。かける際は、静かで電波の良い場所を選びます。かける時間帯は、企業なら10~12時、または13~16時の就業時間内に、飲食店ならお店が忙しくなるランチタイムや夕方以降を避けた14~17時など、相手の都合に配慮した時間帯にすると良いでしょう。
電話は緊張してしまう! 心掛けるべきことは?
就職・転職を希望している企業への電話となると、普段冷静な人であっても緊張するものです。「うまく話そう」と意気込むのではなく、まずは早口にならず、ハキハキと話すことを心掛けると良いでしょう。
ハキハキと話すためのポイントは、電話越しであっても背筋を伸ばして正しい姿勢を保つこと。電話の相手に自分の姿勢は見えないと気を抜くのではなく、姿勢から礼節を保ち、ゆっくり話すようにしましょう。
落ち着いて、堂々とした印象をアピールすることができれば、「忙しい時やトラブルにも冷静に対応してくれるだろう」との期待が高まるかもしれません。
電話をかける場合
自分の名前を名乗り、担当者につないでもらう
「お忙しいところ失礼いたします。{〇〇という求人サイトを見て電話しました}〇〇と申します。採用担当の〇〇様は、いらっしゃいますか。」
上の例は、求人に応募した際の例です。{ }内は「中途採用の面接を受けさせていただいている/面接のお約束のある/内定の連絡をいただている」など、状況によって変えていきましょう。
担当者に要件を伝える
本題に行く前に、相手が電話できる時間があるかを断ってから、この求人に興味をもって応募している事、まだ受け付けているかを確認しましょう。「お忙しいところ失礼いたします。〇〇という求人サイトを見て電話しました〇〇と申します。今、お電話よろしいでしょうか。」
担当者が不在だった場合
担当者といつ話せそうかを確認します。「何時ごろお戻りになりますか?」
(相手が戻り時間を言う)
「かしこまりました。{戻り時間}にまた改めます/また後程かけ直します」
必要に応じて、折り返しをお願いしても良いでしょう。「かしこまりました。恐れ入りますが、〇〇様に折り返しのお願いをしたいのですが、連絡先は000-0000-0000です。仕事の都合上〇〇時以降ですと助かります、とお伝えください。よろしくお願いいたします」
かけ直した際は、一言、かけ直している事を加えても良いでしょう。「(名乗った後)先ほどお電話した際、ご不在でしたので、再度お電話させていただきました」
留守番電話につながった場合
留守番電話につながったら、切らずにメッセージを残すようにしましょう。自分の名前と簡単な要件の後に、またかけ直すことを添えましょう。「また後ほどお電話いたします。失礼いたします」
電話は相手が切るまで待つ
用件が済んだあとは、なかなか切らないようであれば、先に切っても問題ありませんが、相手が先に電話を切るような間をあけましょう。(要件がすべて終わった)
「失礼いたします」
(相手が先に切るように間をあける)
折り返す場合
電話に出られずに折り返す場合、気づいたらなるべく早く連絡しましょう。担当者につながったら、一言お詫びを添えます。
採用担当者につないでもらう場合
「先ほど、採用担当者の〇〇様からお電話を頂いた〇〇と申します。〇〇様はいらっしゃいますか」
または、
「先ほど、採用担当者の〇〇様とご連絡させて頂いた〇〇と申します。〇〇様はいらっしゃいますか」
採用担当者につながったら
本題に入る前に一言お詫びを伝えましょう。「先ほどは、お電話に出られず、失礼いたしました。今、お時間よろしいでしょうか。」
質問や日程調整、辞退など用件別の例文
では、今度は細かく用件別に例文を見ていきましょう。
※注意※
中途採用の場合、電話で応募や質問を受け付けていない会社が多いです。電話での応募・質問を受け付けていない場合に電話してしまうと、迷惑に思う担当者もいるので、まずは求人情報に記載されている応募手順などを確認すること、また求人情報の中にメールアドレスが記載されていたり、求人サイトなどの場合「質問フォーム」などが設けられていることが多いので、まずはそちらから問い合わせをしてみると良いでしょう。
もし電話で応募・質問が可能な場合は、以下を参考にしてください。
電話で応募をする場合
熱意を感じてもらえるように意識しましょう。電話で応募することになっている場合には、採用担当者も電話で応募者の人となりを感じたいと思っているはずです。
「○○で求人広告を拝見しました。私は××に興味を持っており、ぜひとも御社の面接を受けさせていただきたく思います。応募はまだ受け付けていらっしゃいますでしょうか」
と一言でいいので、なぜ応募するのかについても触れておくと良いでしょう。
応募前に、応募資格や求人情報の内容について問い合わせる場合
選考・採用の初期段階の電話であることを意識し、
「○○で求人広告を拝見しました。こちらに記載されている△△についてお尋ねします」
と失礼のないように話しましょう。ただし給与や休日、そのほか待遇に関する質問は答えてもらえないケースも多く、不安や疑問を解消してから応募したい気持ちは分かりますが、避けたほうが無難です。
面接日程の調整や変更を依頼する場合
「大変申し訳ございません。○日にどうしても外せない用事が入ってしまい、面接の日程を調整していただくことはできますでしょうか」
とせっかく設定してもらった時間の変更をお願いすることに対する謝罪の気持ちを述べます。もっとも、いったん決めた日程を変更するのは本当にどうしようもない急用ができた場合だけにしましょう。
内定や選考を辞退する場合
「色々と検討しましたところ、大変ご迷惑をお掛けしてしまいますが、今回は御社の内定(選考)を辞退させていただきたいと思い、お電話いたしました」
と伝えます。辞退の理由について質問された場合は、誠意を持って答えてください。
まとめ
電話のやり取りは、就職・転職においては非常に重要です。顔が見えないため受け答え次第では「マナーがなっていない」と思われ、評価を下げてしまう可能性もあります。
逆に言えば、電話を通じてビジネスマナーがしっかり身に付いていることや、誠実な態度を示すことができ、好印象を残すこともできます。
社会人にとって電話のマナーは重要です。一度覚えれば就職・転職してからも無駄になることはなく、必ず役立つので、しっかりマスターしておきましょう!
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